うつ病は、理由もなく気分がひどく落ち込むなど強い憂うつ感が何日も続く病気で、時には通常の日常生活を送るのが難しくなることもあります。日本人の15 人に1人が経験すると言われるほど多い病気ですが、うつ病であることに気づかなかったり、治療を受けない人が多いことも事実です。うつ病のサインに本人や 周囲が気づき、早めにケアすることが大事です。
増え続けるうつ病
厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成8年には43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成 20年には104.1万人と9年間で2.4倍に増加しました。「患者調査」は、医療機関にかかっている患者数の統計データですが、 うつ病患者の医療機関への受診率は低いことがわかっており、実際にはこれより多くの患者がいることが推測されます。
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(参考資料)
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みんなのメンタルヘルス「こころの健康対策~うつ病~」
うつ病の症状
うつ病の症状には精神症状と身体症状があります。
精神症状
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・抑うつ気分
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気分が落ち込む、憂うつ、理由もなく悲しい気持ちになる、何の希望もない。
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・興味や喜びの喪失
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今まで好きだったことや趣味をやる気になれない、テレビや新聞を見てもおもしろくない、性的な関心や欲求も低下する。
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・精神運動の障害(強い焦燥感・運動の制止)
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体の動きが遅くなる、口数が少なくなる、声が小さくなる。また、逆に、じっと座っていられない、イライラして足踏みをする、 落ち着きなく体を動かす。
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・思考力や集中力の低下
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頭がさえない、考えがまとまらない、決断力や判断力が低下する、反応が遅くなる、仕事の能率が落ちる、注意力が散漫になって、人のいうことがすぐに理解できない。
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・意欲の低下
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人と会ったり話したりするのが面倒になる、何をするのも億劫。
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・自責感
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何でも悪いほうに考える、必要以上に自分を責める、まわりの人に申し訳ないと思う。
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・希死念慮(死にたいと思う)
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生きていくのがつらい、死んだほうがましだ。
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・精神病症状
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自分が重大な罪を犯したと思い込む罪業妄想、貧乏になったと確信する貧困妄想、がんなどの重い病気になったと信じ、検査結果で心配ないと話しても訂正できない心気妄想などがみられることがある
身体症状
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・睡眠の異常(不眠または睡眠過多)
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・食欲の低下または増加
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・疲労、倦怠感
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・ホルモン系の異常
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月経の不順、性欲の低下、勃起の障害
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・その他の症状
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頭痛(すっきりしない鈍い痛み)、頭重。肩、腰、背中などの痛み
家庭の医学「うつ病」
周りから見てわかる、うつ病の兆候
うつ病では、自分が感じる気分の変化だけでなく、周囲からみてわかる変化もあります。周りの人が「いつもと違う」こんな変化に気づいたら、もしかしたら本人はうつ状態で苦しんでいるのかもしれません。
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・表情が暗い
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・涙もろくなった
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・反応が遅い
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・落ち着かない
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・飲酒量が増える
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(参考資料)
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みんなのメンタルヘルス「うつ病」
うつ病と自殺
自殺既遂者に対する調査からは、うつ病等の気分障害がとくに重要な自殺の要因であることが明らかになっています。 万が一、身近な方が自殺をほのめかしたり、遺書を書く、身辺整理をするなどの行動が見受けられる場合は、その人を一人にしないで、ナイフやヒモ類を本人の手の届かないところに置いてください。また、できるだけ早く、誰かが同伴して病院を受診させてください。
うつ病の方ご本人や周囲の方のための相談窓口がありますので、 一人で悩まず相談してみることをおすすめします。
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(参考資料)
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みんなのメンタルヘルス「自殺対策について」
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相談窓口など
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働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳 専門相談機関
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みんなのメンタルヘルス こころの悩み、医療についての相談
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こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~ 困ったときの相談先
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