皆さんは、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」という言葉をご存じですか?働くすべての方々が、「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった「仕事以外の生活」との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方のことです。
しかし、現実の社会では、「安定した仕事に就けず、経済的に自立できない」、「仕事に追われ、心身の疲労から健康を害しかねない」、「仕事と、子育てや親の介護との両立が難しい」などの理由で、多くの方がワーク・ライフ・バランスを実現できていません。
※グラフで見る「ワーク・ライフ・バランス」の現状についてはこちら
様々なライフスタイルや、子育て期、親の介護などを行う中高年期といった人生の各段階におけるニーズに合わせて多様な働き方・生き方を選べる「ワーク・ライフ・バランス」社会の実現に向けて、国と地方公共団体、企業、働く方が一体となって取り組むため、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和のための行動指針」が平成19年12月に策定(平成22年6月改定)されています。ここでは、目指すべき社会(ワーク・ライフ・バランスが実現された社会)の姿として、以下のことを掲げています。
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内閣府「仕事と生活の調和の実現に向けて~政府の取組」
今、仕事をしながら、子育てや介護などをする人が増えている中、仕事と生活の調和を図りたいという人が多くなっています。また、子育てや介護以外の 理由でも、資格を取ってキャリア・アップをしたり、NPOに参加しボランティア活動を行ったり、しっかり休養をとり疲労を回復するなど、様々なかたちで、 ワーク・ライフ・バランスを実現できたらいいなと考えている人がたくさんいます。ワーク・ライフ・バランスは、働く人すべてに関係することなのです。
そもそもワーク・ライフ・バランスとは、単に仕事と生活に割く時間を半々にするという意味ではありません。仕事と生活のうち、どこに重点を置きたい かはその人の生き方、働き方によって異なりますし、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じても変わってきます。つまり、ワーク・ライフ・バランス が目指す姿は、それぞれの人の置かれた状況に応じて仕事と生活のバランスをとれるようにすることで、多様な人材が自分の事情に合わせて働くことのできる社 会なのです。
といっても、具体的なイメージをもちにくいかもしれませんので、ここで、いくつか例を紹介します。
ワーク・ライフ・バランスへの取組は、働く方々にとっても事業主にとっても、それぞれメリットがあります。
長時間労働を改善し、従業員の健康が守られる
仕事以外の生活を充実させることで、従業員の満足度や仕事への意欲が高まる
知識や技術、経験のある人材の離職を防ぎ、有能な人材の確保につながる
限られた時間で仕事を遂行しようとするため、仕事の効率化が図られる
仕事以外の生活の経験を通じ、生活者としての視点や創造性が養われたり、資格を取得したりするなど、従業員の能力向上につながる
企業イメージが向上しPR効果につながる
ワーク・ライフ・バランスは、働く方々と事業主が共に協力して、自主的に取り組むことが望ましく、国や地方公共団体などが支援し、社会全体で取り組 みを進めて行くべきものです。この特集では、成功した事業所の事例や、国や地方公共団体などが行っている支援といった働く方々や事業主にとってヒントにな る様々な情報を紹介していますので、ぜひ、チェックしてみてください。
アルバイトやパート、派遣社員などの非正規雇用者が雇用者全体に占める割合は、ここ数年で男性では5人に1人の割合になっており、女性では半数を超えています。
※グラフはクリックで拡大図が出ます
備考:
1.総務省「労働力調査特別調査」より作成。1985年から2000年までは「労働力調査特別集計」(2月分の単月調査)、2005年以降は「労働力調査(詳細集計)」(年平均)による。
2.雇用形態の区分は勤め先での呼称による。
3.2000年2月以前の分類は「嘱託・その他」、2005年以降は、分類を「契約社員・嘱託」と「その他」に分割。
4.2011年の< >内の実数・割合は、岩手県、宮城県及び福島県について総務省が補完的に推計した値を用いている。
非正規雇用者の就業形態は、「自分の都合のよい時間に働ける」「家庭の事情と両立しやすい」など、多様な働き方を実現するために選択されている場合もありますが、最近は「正社員として働ける会社がない」というやむを得ない理由で選択されているケースが増えています。
週労働時間60時間以上の男性の割合は年々減少傾向にありますが、依然として、30歳代、40歳代の割合が高く、5人に1人程度の割合で、週労働時間が60時間を超えています。
備考:
1.総務省「労働力調査」より作成
2.数値は、非農林業就業者(休業者を除く)総数に占める割合
3.平成23年< >内の割合は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果
年次有給休暇の取得率は、少しずつ増えてきてはいますが、従業員数1,000人以上の企業でも6割弱にとどまっており、依然として低い状況です。
備考:
1.厚生労働省「就労条件総合調査」より作成
2.平成18年までは「本社の常用労働者が30人以上の民営企業」、平成19年からは「常用労働者が30人以上の民営企業」と調査対象が変わったため、折線グラフに連続性はない
3.平成23年調査では、東日本大震災による企業活動への影響などを考慮し、被災地域(※)から抽出された企業を調査対象から除外し、被災地域以外の地域に所在する同一の産業・規模に属する企業を再抽出し代替(調査対象)としている
※国土地理院「津波による浸水範囲の面積(概略値)について(第5報)」(平成24年4月18日公表)により、津波の浸水を受けた地域並びに東京電力福島第一原子力発電所において発生した事故に関し設定された警戒区域等(市区町村単位)。
出産後の就業継続率を正社員とパート・派遣社員で比べてみると、正社員では出産後も継続する割合は増えていますが、依然として約半数の女性が出産を 機に仕事を辞めています。さらにパート・派遣社員では就業を継続する人の割合が正社員に比べて少なく、仕事と育児を両立して働き続けている人は増えていま せん。
備考:
1.国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」を参考にして作成
※全体の調査から「正規の職員(正社員)」「パート・派遣」のみを抽出
※「出生動向基本調査」は5年に1度実施
2.第1子が1歳以上15歳未満の子を持つ初婚同士夫婦について集計
3.出産前後の就業経歴
就業継続(育休利用)-妊娠判明時就業~育児休業取得~子ども1歳時就業
就業継続(育休なし)-妊娠判明時就業~育児休業取得なし~子ども1歳時就業
家族の介護や看護を理由とした離職・転職者の数は男女とも年々増加傾向にあります。今後高齢化が進む中、仕事と介護の両立はますます重要な課題となっています。
備考: 総務省「就業構造基本調査」(平成19年)より作成
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