『カウンセラーは何を見ているか』 - 常套句の罠、共感という欺瞞 HONZ 配信

 
『カウンセラーは何を見ているか』 - 常套句の罠、共感という欺瞞

 

いわゆる業界ものというジャンルは古くから存在するわけだが、まさに玉石混交の世界である。業界内の人間から見ると、どこか通り一辺倒な言及に留まってい たり、業界外の人間から見るとチンプンカンプンだったり。また、あるあるネタとして笑い飛ばして終わりなものもあれば、業界との決別を覚悟して”立つ鳥後 を濁しまくり”なものまでと幅広い。

と ころが昨今、その業界に蔓延する問題を、内外の双方に上手く訴求し、業界自体のバージョンアップを試みるような「マイルドな告発もの」が増えてきているよ うに思う。我が広告業界では上梓されたばかりの『おざわせんせい』がそのような任を担っていると思うし、先日HONZにてレビューされた『申し訳ない、御 社をつぶしたのは私です』などもその一種であるだろう。いずれにしても業界の圏域を越えられるかということが、肝になってくる。

「ケアをひらく」というシリーズ名の通り、本書もそういう役割を果たしうる一冊だと思う。そこで注目したいのは、どのようにして圏域を越えているのかとい う点である。カウンセラーという職業にどこか胡散臭さを感じているような人でも、著者による以下の定義を聞けば、引き込まれる部分もあるだろう。

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カウンセラーとは、バーやクラブのチーママ、占い師、そして新興宗教の教祖を足して3で割り、そこに科学的な専門性という装いをまぶした存在である。
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これをもう一歩踏み込んで説明すると、カウンセラーとは、精神科医やセラピストとは一線を画す職業のことを指す。「診察」ではなく「見立て」を行い、病理 や症状の「治療」ではなく、問題や困りごとの「解決」を援助する。精神科の中に組み込まれている場合もあれば、独立しているケースもあり、著者は後者の部 類に属している。

要はカウンセラーの仕事を、心の病を持つ人を相手にする特殊な仕事ではなく、「依頼主の課題をコミュニケーションで解決する」と捉え直しているところがポイントである。これだけで、多くのマスコミ人にとって他人事ではいられなくなるだろう。

そこから、依頼主と向き合う際のパワーバランスや取りべき距離感について解説していくのだが、日頃何気なく使っている常套句が早々に封じ込められてしまう から愕然とする。たとえば多くの営業マンが一度は口にしたことがあるであろう「結局、得意先が決めたことだからさ。主体は得意先だしね。」というような言 葉。 これについては以下のように述べ、介入へと背中を押す。

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「クライエントが主体である」と述べれば私たちも自己正当化できる。決め台詞をスローガンやお題目のように使うことで、クライエントのことを考えているように見えて、実はカウンセラーである自分たちを守っている。
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ならば「共感」と「傾聴」でとことん分け入っていけば良いのかというと、そこは入り込み過ぎない。

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そう、しょせん「他人事なのだ」。(略)
他人事だから聞けるのだし、経験がないからこそ精いっぱいの想像力と脳髄を絞り込むほどの知識と論理的思考力をフル稼働させて聞く。そうやってカウンセラーとして歩いてきた。はたしてそれが「共感」といえるのかどうか。
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一見正しい言葉は、無意味なスローガンに過ぎないケースも多い。両サイドに存在する陥りがちな罠をクリアにすることによって向き合いの範囲をガシっと鷲掴みにし、その感覚がダイレクトに伝わってきて気持ち良い。これを完結にまとめると、以下のような刺激的な表現になる。

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あからさまな強制によって外海に泳ぎ出てしまうより、「自分で選んだ」満足感のもとに生け簀の中で泳いでもらう。そして生け簀ごと、望ましい方向に移動させること。これがカウンセリングにおける独特の強制であり介入なのである。
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さらに興味深かったのは、「感情労働」という概念についてである。多くの人は世の中の仕事が、肉体労働と頭脳労働の二つに分かれると思っている。恥ずかし ながら僕も、自分の仕事を頭脳労働の部類だと思っていた。だからこそ蠢く感情に翻弄されたり、実施の可否を左右されることを、アンラッキーな厄介事と捉 え、フラストレーションが溜まっていくのである。

だが知的労働でいくら良い企画を考えても、それを実現するまでの営みは、まさに本書で紹介されている感情労働に該当するものであり、一見、知的労働のよう に思える仕事も大半は感情労働なのかもしれない。この概念をまずは知っておくだけでも、リソースの割き方が変わるという意味で有益であることだろう。その うえで著者は、「感情」の特権化が生み出すリスクについて警鐘を鳴らす。

本書で繰り広げられる開けっぴろげな論考に、顔の見えぬ黒子が権威化するような時代は終わったんだなということを痛感する。いや終わっていないのかもしれ ないが、パワーバランスは常に入れ替わる可能性があるということだ。昨日まで受発注の関係だったものが、明日から競合相手に変わることなど、珍しくもない 時代である。これを、カウンセラーとクライエントの向き合い方を通して実感することが出来る。

読みながら、自ずと著者に心理戦を挑みたくなるような部分があるだろう。だが残ったのは、同業者的敗北感であったことを白状しておく。

                                                       以上、内藤 順氏の引用

 

新宿の紀伊国屋にて手にしてみました。

あけっぴろげな内容に驚いてしまいました。

同感できるところもありましたが、どこかなじめないものを感じて購入には至りませんでした。

 

しかし、カウンセラーの一面を歯に衣着せることなく表現した画期的な書籍であるとは思いますので、

もしご興味があれば、お手にとられても良いかもしれません。

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